まずイオンとは「電荷」を帯びている原子や原子の集団の総称であることを把握しておくことが大切じゃ。
前回は原子の大きさについて学習したが原子は原子核と電子で構成されておったのを覚えておるかのぉ。
うんうん、覚えてるよ。原子はめっちゃくちゃ小さくて、もっともっと小さい電子や原子核で構成されているんだったよね。
そして原子核は、え~っと中性子と陽子?だったかな。この2つの粒子で構成されていたのであります!
うむ、ポンちゃんは見た目によらずなかなかやるもんじゃのぉ。
イオンは電荷を帯びている原子のこと。電荷にはプラスの電荷とマイナスの電荷があり原子核はプラスの電気を帯びておった。そして原子核の周りに存在している電子はマイナスの電気を帯びておると説明したはずじゃ。
原子核のまわりには何層もの電子の層があり、電子の数は原子の種類によって変化する。
そしてこの原子が帯びている電荷がプラスであってもマイナスであっても電荷を帯びておるイオンということになるのじゃ。
※イオンとはプラス・マイナスの電荷を帯びている原子・または複数の原子の集団のこと
なるほど~!マイナスイオンが出てくる電化製品って電荷を帯びている原子が出てくるってことだったんだぁ。
イオンって電荷をもっている原子だったんだね。でもイオンになっている化学式にはプラスとかマイナスって記号が付いてくるんだよねぇ。
このプラスとマイナスって丸暗記しちゃえばいいんだろうけど、やっぱりどうしてプラスとマイナスがつくのかを知りたいなぁ。
イオン結合がなされるにはイオン化している原子が2つ以上集まる必要がある。
※イオン結合=2つ以上のイオン化原子が必要
イオン結合は電荷によって引き付けあって結合するという特徴があるのじゃが、このイオン結合をもたらすイオンになるまでの仕組みもちゃんと理解しておくと今後の学習がスピードアップするかもしれんのぉ。
と言っても難しいことは何もない。
とっても簡単な仕組みなんじゃが一応ここでは分子の「イオン化のメカニズム」についてもチェックしておくとしようかのぉ。
よ~し!がんばるぞ~!
イオン化のメカニズムを覚える為の分かりやすい例にはナトリウムのイオン化を事例としてあげるケースが多いのぉ。
これは「電子配置図」を見てもわかるとおり、ナトリウムの電子配置は一番外側の殻に存在している電子がひとつという極めて不安定な物質状態にある為じゃ。
たしかに何だか外側の電子が浮いちゃってるような感じがするよ。
この電子配置図のように電子配置の状況が見た目でも不安定と感じられるようなケースでは、原子が電子を手放してみたり、もしくは電子を引き入れたりして原子状態の安定化を図ろうとするものじゃ。
この電子の安定化を図ろうとする「原子君の試み」の際にイオン化という現象がおき原子がプラスイオンやマイナスイオンに変化するのじゃ。
※原子が電子を手放したり引き入れたりすることでイオン化する
ナトリウムの場合はマイナスの電気をもつ電子をひとつ手放して「ナトリウムイオン」の完成、イオン化の達成となるわけじゃ。
へぇ~、ナトリウムがイオン化するとナトリウムイオンになるんだね。何か具体的な例で見てみたいなぁ。
ナトリウムのイオン結合の流れを具体的な例として見てみることにしようかのぉ。
まずナトリウムという物質のまわりには電子が11個存在するのは分かるのぉ。
電子が持つ電荷はマイナスじゃから、ナトリウムは「11個のマイナスの電気」を持っておることになる。
原子核内にある陽子と電子の数は同じだったからだよね。
うむ、そうじゃな。この11個のマイナス電子とつりあう様にナトリウムの原子核を構成している陽子も11個存在しておる。
しかしナトリウムの電子配置は最外殻の電子が一個と不安定じゃのぉ。
そこでこのひとつの電子を手放して「ナトリウムイオン」という安定な形状になろうとすることは前項で学習した通りじゃ。
ナトリウムはここでマイナスの電気を持つ「電子」をひとつ手放して安定すると、陽子と電子の数が合わなくなってしまうのぉ。
このように陽子の数がひとつ多くなってしまった状態ではナトリウムのNaの記号の横にプラスという記号を付け足してあげる必要がある。そして完成した式である「Na⁺」はおそらく誰もが見たことがあるであろう「イオン式」と呼ばれるものじゃ。
※イオン式=イオン化した原子の電荷状態を記載した式
イオン結合は例えば前項で解説したナトリウムイオンの場合は陽子ひとつ分のプラスの電荷をもつことからマイナスの電荷をもつイオンと結合する性質をもっておる。
これは磁石のS極とN極が引き付けあう関係と同じじゃ。
電子をひとつ手放してしまったからプラスになったんだよね。
⇒ナトリウムの電子配置図の例参照
※イオン結合がなされるのはプラスイオンとマイナスイオン
うむ、ここでまたひとつ事例を見ながらイオン結合の仕組みについて見て行くとしよう。
ここではプラスの電荷をもつ「ナトリウムイオン」とマイナスの電荷をもつ「塩化物イオン」の結合を例に見ていくことにしよう。
ほ~い!
ナトリウムイオンのイオン式は「Na⁺」そして塩化物イオンのイオン式は「Cl⁻」となっておる。
この2つが結合するとどのようなイオン式になるかわかるかのぉ?
え~と、2つがくっつくわけだから「Na⁺Cl⁻」になるのかなぁ?う~んちょっとわからない。
ポンちゃんの答えで正解。シンプルに2つのイオンが結合するわけだから原則としてイオン式も結合することになるのじゃな。
但し、プラスとマイナスの電気がひとつずつある場合は、それぞれを記載せずに「NaCl」という記載だけで良いのじゃ。
NaClってどこかで見たことがあるような・・・・
そうじゃろうのぉ、このNaClは「食塩」を示す記号じゃ。
なるほど!じゃあ、食塩はイオン結合によって誕生した物質だったんだね。
ねぇ博士ぇ。さっき説明してもらったナトリウムイオンと塩化物イオンのイオン結合なんだけどね。NaClという組成式は、ClNaだと間違いになっちゃうのかなぁ?
もし化学の問題が出た時に「塩化物イオン」と「ナトリウムイオン」のイオン結合式を書きなさいって書かれてたりしたらやっぱり先に書いてあるほうを前に配置させて組成式を書いてしまうと思うんだよね。
うむ、これは化学の世界のルールじゃが、イオンの組成式を記載する場合は、陽イオンが前、陰イオンが後ろに配置するということが決められておる。
※組成式の記載は陽イオンが前・陰イオンが後ろがルール
どちらでも本来は間違いではないじゃろうが、化学の試験などではやはりこのプラスの陽イオンが前に書かれていなければ間違いとされるじゃろう。
尚、読み方に関しては後ろに配置した陰イオンから「物イオン」、前に配置したナトリウムイオンから「イオン」という文字を省いて後ろから「塩化ナトリウム」と呼ぶのがルールとなっておる。
やっぱり駄目なんだねぇ。でも組成式の順番のルールがわかって良かった♪
イオン結合ってとっても難しいイメージがあったけれど、何となくイメージができてきたような気がするかな。
一個ずつイオン化の流れやイオン化のメカニズムから物質を見ていくと別に難しい事なんて何もなかったんだね。
そうじゃのぉ、イオン結合は静電引力によって惹かれあって結合する形式。
このイオン結合の最大の特徴は、電気による結合である為、どんな方向であっても等しい距離であれば等しい静電引力が働くという点にある。
また、複数のイオンがある場合でも等しい距離間であれば幾つでもイオン結合が可能である点もイオン結合の大きな特徴のひとつと言えるのぉ。
【イオン結合の2つの特徴】
①イオン結合では方向性の規則がない
②距離が等しい場合は幾つでもイオン結合が可能