◆元素周期表の暗記法・覚え方の解説

◆元素周期表発見者メンデレーエフは周期表から未発見元素の予測をたてていた?

 ねぇ博士。元素の周期表は横の軸が「周期」をあらわしていて縦の軸が「族」を示しているんだったよね。

 うむ、その通りじゃよ。周期表は全て覚えておく必要はないのじゃが、系列や族が規則性を持って並べられておることからも、規則性や配列の特徴を把握しておくことで次に配置される元素の予測が可能になる部分もあるのじゃ。
 これは少しずつ学習を重ねていくことで見えてくるものじゃな。
 実際に元素周期表の発見者であり現在の周期表の礎を築いたとされるメンデレーエフ(ドミトリ・イヴァノヴィチ・メンデレーエフ)の周期表は、作成当時はまだ確認されていない元素が多くあり空欄がいっぱいあったのじゃよ。

 空欄?

 うむ、周期表は1~18族に分かれておるが、メンデレーエフはこの周期表の族が自分の予測しているものと同じであるならば、この空欄には必ずまだ発見されていない新元素が入ってくると想定しておった訳じゃな。

 周期表の規則性から元素の性質や属性を予測していったってこと?

 そうじゃ、このメンデレーエフの周期表が広く認められるようになったのも、規則性をもとに原子量や密度、そして元素の色までも元素が発見される前の段階から予測をたて、実際にその予測とほぼ同等の元素が発見されたことが要因であったのじゃよ。

※メンデレーエフは周期表の規則性を研究し空欄部分に当てはまる未発見元素の密度や原子量の電子配置の予測をたてていた。

 まだ見つかっていない元素の姿を予想できちゃったなんてなんだかとっても不思議だなぁ。

◆縦軸の族の性質を覚えると規則性が見えてくる

 周期表を覚えていく際に重要なポイントは、周期表の横軸をチェックするよりも、縦軸の「族」の性質を把握していくことじゃ。
 これは原子は電子配置によって性質が異なっており、より安定した状態を求める為に「陽イオン」「陰イオン」になる形で安定しようと働くためじゃな。
 この際、族の性質を把握しておくと、その原子はプラスイオンになるのか?それともマイナスイオンになるのか?はたまたイオン化しないのか?について一定の規則制があることが見えてくるようになってくるからのぉ。

 確か18族は最も安定した電子配置となっていて18族の元素はイオンになったり化学反応をおこしたりしないんだったよね。

 そうじゃのぉ、これらは族が持っている性質を把握しておくことで対象となる元素の性質までもが見えてくることを意味しておる。
 元素周期表の発見者であるメンデレーエフは長年の研究によって見発見元素の性質を予測し次々と新発見元素の特徴を的中させていったのじゃよ。

◆新しい元素の発見は度重なる実験の繰り返しの中でようやく発見される

 元素は100個以上もあるんだぁ。これを全部覚えるのは大変だなぁ。

 18世紀半ばの時代に発見されていた元素の数は50種類程度じゃった。その後様々な実験が繰り返されるにつれて発見される元素の数も増え20世紀には倍近くの100個以上の元素が確認されるようになったのじゃ。

 みんなの努力のお陰なんだね。

 うむ、そうじゃのぉ。21世紀に入り今後も新しい元素が発見されていくのはおそらく間違いないじゃろう。
 新しい元素の発見は度重なる実験の繰り返しの中でようやく発見されるものじゃ。
 簡単に見つかるものではないが、やはり新しい発見が待ち遠しいのも化学が好きなものにとっては事実じゃろう。

 かっこい~元素が見つかるといいなぁ!

◆金属元素と非金属元素の2種類に分類

 元素を分類する際は、まず金属元素と非金属元素として大きく2種類の元素に分類することが可能じゃ。
 全体の70%以上を占める金属元素は種類も豊富であり、用途も幅が広い。
 元素周期一覧表で言えば、表全体左側部分は全て金属元素として分類される。
 非金属元素は周期表の右上部のエリアに集中しており原子の大きさは右側に行くほど小さな原子となってくる点がポイントじゃ。

 金属元素と非金属元素ってどうやって分類されたの?

 金属元素の特徴は光沢性そして導電性を保持しておる点じゃ。金属に光沢があるのは誰もが何となくイメージできるはずじゃ。
 非金属元素の特徴は金属元素の逆で光沢がなく導電性がない元素である点がポイントとなっておる。
 尚、厳密には半金属元素という定義もあり「ホウ素」「ケイ素」「ゲルマニウム」「ヒ素」「アンチモン」「ビスマス」「ポロニウム」は金属元素と非金属弦の中間の性質を示す金属として分類される事もあるのじゃよ。

◆アルカリ金属は柔らかい?アルカリ金属の特徴をチェックしよう

 周期表の1族元素ってたしか~金属元素だったよね。そして金属元素の中でもアルカリ金属に分類されるんだったはず。

 おっ!ポンちゃん良く覚えたねぇ。
 周期表の1族に分類されている元素はポンちゃんが言った通りアルカリ金属に分類されている元素。(但し原子番号1番の水素は気体であるため除かれる)
 アルカリ金属の特徴は、物質の比率が水を1とした場合に水よりも軽い元素であること。
 そして、柔らかい金属であるという点じゃな。

※アルカリ金属の特徴=水よりも比重が軽く柔らかい

 金属なのに柔らかいの?

 うむ、そうじゃ。アルカリ金属は単体の元素で構成されている場合は簡単にナイフで切断が可能なほど柔らかい金属構成になっておる。
 またアルカリ金属は反応性も高い為、水と良く反応し、室温でも化学反応をおこしてしまうこともある為、扱いが難しい金属でもあるのじゃよ。

◆携帯電話の電池の多くはアルカリ金属に属するリチウムイオン電池

 1族元素のアルカリ金属は水素を除く第2周期から第7周期の6種類。
 周期表の順に言えば「リチウム」「ナトリウム」「カリウム」「ルビジウム」「セシウム」「フランシウム」じゃな。
 リチウムと言えばまず思い浮かべるのはおそらく「リチウムイオン電池」じゃろう。
 リチウムイオン電池は文字通りリチウムが使用されている充電池でマンガン電池やアルカリ電池、そして同類の2次電池である水素電池よりも容量が大きく大きな電力を発揮できる寿命の長い電池として知られておるのぉ。
 扱いが難しいアルカリ金属であるリチウムを使用するリチウムイオン電池を実際に実用化できるレベルにまで製品化したのは日本が誇る「ソニー」のリチウム電池じゃったのぉ。
 今では実際に携帯電話の電池の多くはリチウムイオン電池となっておる。

 携帯電話に使われている電池の多くはリチウムイオン電池だったんだねぇ。

 そうじゃな。またナトリウムは食塩のイメージがあると思うが、金属ナトリウムはとても柔らかくカッターナイフで容易に切断が可能な金属じゃ。
 比重はやはり水よりも軽く、室温によっては重さがどんどん軽くなる性質を持っておる。

 アルカリ金属は柔らかくて軽い!だけど金属ってことなんだね。不思議な感じだなぁ。

◆周期表の番号が途中で飛んでいるのは何故?

 ねぇ博士~。元素周期表を見ていて気になった点があるんだけど。

 なんじゃね?

 どうして周期表の原子番号57番の次は72番になっているの?

 うむ、ポンちゃん良いところに気が付いたのぉ。57番から71番、そして89番~103番までは表の下側に表記されておる。
 この57番~71番までの15元素を「ランタノイド」、89番~103番までの15元素を「アクチノイド」と言うのじゃよ。

※原子番号57~71までの元素=ランタノイド
※原子番号89~103までの元素=アクチノイド

◆第3族元素は希土類元素(レア・アース)と呼ばれる

 ランタノイドは57番元素のランタン~71番元素のルテチウムまでの15元素の総称じゃ。
 周期表の中で一つにまとめられておる原因は電子配置、そして性質が非常に類似しておる為、電子の分離が非常に難しい元素であることが原因にあるのじゃよ。
 周期表の中ではアクチノイドを除く第3族(縦軸)の元素は希少な元素でもあることから「希土類元素」とも呼ばれておるのじゃ。

※第3族元素は希土類元素(レア・アース)と呼ばれる元素

 希土類元素?

 うむ、この希土類元素は含有量が微量であり、また独特の特性をことから「レア・アース」とも呼ばれておる元素じゃな。
 レア・アースはその名の通り、レア=貴重な元素でもあり需要の高まりに伴う資源の枯渇の可能性が心配されている元素でもあるのじゃ。
 他の元素同様、レア・アースもまた有限資源である以上、資源の確保に渡る問題はリサイクル問題においてレアアースは今後も様々な話題を呼ぶ資源となることは間違いなさそうじゃのぉ。

◆語呂合わせで覚える暗記法

 メンデレーエフさんが発見した元素周期表ってきっと今後もどんどん新しい元素が発見されてもっともっと大きな周期表になっていくんだろうね。

 そうじゃのぉ、確かに新しい元素は実験設備機器類の向上に伴い今後も確実に新しい元素が発見されてくることじゃろう。
 そして数年~数十年後、いや数百年後になるかもしれんがもしかしたら非常に安定した構造を持つ放射性元素を産み出す事が可能となる日が訪れるのかもしれんのぉ。
 かつてメンデレーエフがそうしたように未発見元素の存在自体は予測が可能な部分もある。
 そして新しい科学技術の向上がより豊かでより便利な生活をおくる為のきっかけとなる新元素の応用に期待が高まっているのもまた事実なのじゃな。

 なるほどね~、未発見の元素の発見で新しい世界が開けてくる可能性があるってことなんだね。
 でもさ~これ以上どんどん元素が増えてしまったらとてもじゃないけど全部を覚えておくことは難しいよね。

 元素周期表の化学記号は全て暗記しておく必要はそもそもないのじゃよ。実際に化学の授業のテストで出題される問題も大半が原子番号の3周期、多くても5周期までじゃろう。
 尚、周期表を覚えるには学校の授業でも習ったかもしれんが「語呂合わせ」で覚えてしまうのが簡単じゃ。

 語呂合わせ?

◆原子番号順で元素名と化学記号をまとめて暗記

 元素周期表の語呂合わで覚える暗記法には幾つかの有名な語呂合わせが存在しておる。中でも「すいへ~り~べ~ボクノフネ」という語呂合わせを一度は耳にしたことがある方も多いじゃろう。

 すいへ~り~べ?っということは、「すい」は水素で「へ~」はヘリウム、そして「り~」がリチウムで「べ」がベリリウム?
 あっこの暗記法って原子番号順に並んでいるんだね。

 うむ、この有名な暗記法は原子番号順に並んでいる他、元素名と化学記号を合わせて覚えてしまう為に良く用いられている暗記法の一つじゃな。元素周期表と見比べながらチェックしていくとより解りやすいかもしれんのぉ。

【元素周期表の暗記法】
水兵リーベ僕の船

 「水兵リーベ僕の船」は水素のみ化学記号がHじゃが、後は読みと記号が一致しておる為、覚えやすい語呂合わせであると言えるのぉ。
 尚、「リーベ」とはドイツ語で「愛」を意味する言葉。
 語呂合わせでは映像を頭の中にイメージするとより暗記しやすいと言われておる為、自分が乗船する船や軍艦、自分が保有する船を港に一人たたずむ水兵がじっと見つめている姿をイメージしてみると良いかもしれんのぉ。

 語呂合わせってなんだか面白いね♪

 語呂合わせを作る場合は特に深い意味は考えんでも良い。
 イメージが連想できてキーワードを思い出す事さえ出来てしまえば、文面やイメージは何でも良いのじゃな。
 慣れてしまえば自分で幾つでも作ることができるからのぉ。
 尚、良く出題されるアルカリ金属の覚え方では以下のような語呂合わせも有名じゃよ。

【アルカリ金属の暗記法】
リッチなか~ちゃん、ルビーせしめてフランスへ

 これも元素周期表と見比べてみると良くできた語呂合わせであることがわかるのぉ。
 尚、「せしめて」とは言葉巧みに自分のものにしてしまう。という意味があり、アクセサリーで着飾ったちょっと怪しいか~ちゃんが他人からルビーをせしめてフランスへ逃亡する。
 そんなイメージが浮かべば後はアルカリ金属名も化学記号もまとめて思い出すことができるじゃろう。